フランシスコ・デ・ゴヤ
「理性の眠りは怪物を生む」 は、ゴヤが1797年から1798年にかけて制作し、1799年に出版した版画集 「ロス・カプリチョス(気まぐれ)」 に含まれる一枚である。悪徳、情念、我欲、虚言、虚栄、社会不正、盲信、狂信。人が眠りに落ちて理性から遠のく時、愚かな人間の本質が露わになる。
版画集「ロス・カプリチョス」に収められた80枚の版画の中で、この作品は寓意的なテーマの後半部へと導く扉の役割を果たしている。ゴヤはエッチングとアクアチントをどのように巧みに使いこなして見る者を空想の世界に引き込んでいったのだろうか。
幻想的な作品を制作する画家・版画家のホセ・エルナンデスはマドリッドのアトリエで、ゴヤの時代と同じく手作業でアクアチントを施している。