レンブラント・ファン・レイン
後期レンブラントの金字塔的版画作品「三本の十字架」は、磔刑をテーマにしたレンブラント最後の版画作品である。映画では、幻想的な世界へ見る者を誘うこのドライポイントの傑作が、4段階の変更を経て制作された過程を追う。レンブラントは版画の構成を大きく変えることなく制作を進めていたことがわかる。
「太陽は隠れ、闇が世界を覆った」。明るい光を表現した第1段階から、長く深い線が狭い間隔で彫られた第4段階で、伝道師達の伝える "闇への転落" が表現される。巨匠は明暗法の可能性とドライポイントの線の翳りを巧みに操り、嘆きを露わにする人々、動揺する群衆、ローマ軍の存在、立ち上がる馬、これら全てで、磔刑という出来事によって生じた混乱と恐怖を表現している。
線描画家・版画家のフランソワ・ベアルー氏をブルターニュ地方コート・ダルモールのアトリエに訪ねる。ベアルー氏は、「レンブラントのドライポイントは、伸ばした腕で風景のあらゆる変化を描写する」とその革新的な技術を説明する。
ルーブル美術館銅版画部門長フランソワ・ボディカン氏は、スクレーパー、バニッシャー、版とインクの関係など、ドライポイントの神秘について語る。