パリ13区、地上を走るメトロの高架線と現代的なビル群の谷間、古き良きパリの雰囲気をまだ残したこの地区に、この個性的なアトリエはひっそりと佇んでいる。そこはリーズ・フォリエ=モラレスとマキシム・プレオのアトリエだ。
お面や彫刻、天井を揺れる鉄製の人形。その合間に置かれた凹版用・凸版用2台のプレス機に、人体骨格模型がその陰を落とす。その他にもおびただしい数のオブジェ。彼らはここで、ドライポイント、銅版画、アクリルに彫版や紙版画、リノカット、ドミノグラフィーなど、様々な版画技法を試みる。「原則的に、必要ならば厳密なレプリカが複製できるイメージを作ることが大切なんだ。かと言ってそれも絶対とはいえないが…」と、マキシム・プレオは言う。
この創造性に満ちた実験室のようなアトリエで、リーズは巡礼者や鳥をモチーフに版画を、マキシムはゴミ袋、コーヒーポット、コートや靴などの静物画を制作している。そしてカメラを前に二人は、レリーフプリントやステンシルを用いたドミノグラフィーなど、独自に考案した版画技法を組み合わせて「タマラの靴」と題する作品を共同制作する。